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『REDSTONE』 6




“その作戦だが前虎後狼の陣を取る。”
givson-doveの発言に対しのかちむ♪が
“なるほどね。”
作戦の意図を理解したのか頷く。
“んで、それってどんな隊形だっけ?”
しかし、実際はそうでもなかった。


“・・・・・・まぁ・・・1から説明するよ・・・。まずMOBが橋の上を通過する時を見計らい俺とミコト君が立ち塞がる形でMOBの前に姿を現す。MOBの注意がこっちにきたとこでのかが脱落魔法師からアイテムを取り戻してくれ。”
“そしてそのままこちら側に逃げてくる。アイテムを奪い返すのと俺達を倒すためにこちら側に攻め入るだろう、それを俺とミコト君で食い止める。”
“そんなに広くない橋だ、戦闘しながら通る事の出来るMOBの数は2か多くて3だろう。つまり多くても1対2の状況で戦う事が出来るわけだ。しかし強敵な上に数も多いからそれなりの苦戦が強いられるだろう。”
“そこで橋の逆側をラディについてもらう。MOBは前後に注意しなくてはならなくなるから楽に戦闘が出来るはずだ。”
“でもそれじゃ一人のラディが危険じゃん!”
のかちむ♪が反論する。
“うむ、あくまでMOBはアイテムを奪い返す事を最優先させるだろう。こちらが踏ん張ればそれだけラディも楽になるだろうし何よりも俺はラディなら大丈夫だと思ってる。ラディはどうだ?”
ラディッツが冷静に答える。
“実際にこの目で敵を見た感じだと多分大丈夫でしょう。”
“うむ。もし万が一ラディの方に逃走する事があればすぐさま俺とミコト君で後ろをつく。”
“そしてのかはアイテムを奪い返されないよう俺達の後ろで待機しながら援護射撃を、蜜柑さんとダミにも後方で支援を頼む。”
givson-doveが一呼吸置き
“作戦は以上だ。みんな大丈夫か?”
確認を取る。
“““““はい!”””””
皆の口調はすでに任務体勢に入り普段の会話とは全く違い真剣なものだった。


「ギブ、だいぶ近くまで来とるぞ。あと5分もすれば橋に辿り着くじゃろうな。」
「わかった。」
“のか、いつでも行動に移せる距離まで近づいておいてくれ。”
“ずっといつでも動ける距離で進んでるよ。”
「よし、じゃあ思いっきり暴れてやろうぜ!」












『真説RS:赤石物語』      第1章 『REDSTONE』-6







ヒュー


一通りの作戦を伝えMOBに気付かれないようにひっそりと身を隠す一行に冷たい風が吹きつけた。
「きたな・・・。」
MOBを目視したgivson-doveが小さく声を漏らした。
そしてMOBが橋に差し掛かったのを確認し指で合図を出した。


3  2  1   ザッ


givson-doveの合図を元にミコトとgivson-doveがMOBの前へと勢い良く飛び出した。
「長旅ご苦労さん、そしてお前たちの旅はここでお終いだ!」
givson-doveが大きい声でMOBを牽制する。
思いもよらない出来事にMOBの足が一瞬止まった。
「じゃぁ、行っちゃうよぉ~。」
ミコトとgivson-doveに続きのかちむ♪も行動を開始した。
「罠発動~。」
のかちむ♪が前もって設置しておいた罠が発動しMOBの動きを制した。
その隙をつき目にも止まらぬ速さでMOBの間をすり抜け脱落魔法師までの距離を一気に近づけた。
「んーと、あったあった。」
シーフ特有のスキル強奪により脱落魔法師が持っていたアイテムはあっという間にのかちむ♪の手の中へと移り変わった。
何事かと戸惑った様子で見ていた脱落魔法師の表情が一気に険しくなり周りのMOBに叫ぶように指示を出し始めた。


グルルルゥ


脱落魔法師の周りにいたMOBが一斉にのかちむ♪に対し攻撃を開始した。
「武道の仰け反るあなどっちゃいけないよっ。」
のかちむ♪は次々と繰り出されるMOBの攻撃を一つ一つ確実にかわしていった。
そしてMOBの攻撃が止んだ一瞬をつき急いでミコトとgivson-doveの元へと橋を走り抜けた。
「よくやった。後は任せろ。」
通り過ぎざまgivson-doveが声をかける。
「よしっ、やるぞミコト君!」
「はい!!」
ミコトとgivson-doveがMOBを撃墜せんと橋の前で剣をかまえ待ち受けた。


グオオオオオ

MOBの先陣をきったのは2体のサティロスだった。
2体のサティロスが同時に2人に向かい突進を試みる。
「うおおおお!」
サティロスの突進をgivson-doveが真正面から受け止める。


ズズズズ・・


サティロスの突進はgivson-doveにより数十cm進んだだけで勢いは止まった。
「次は僕の番ですね。」
そう言うとgivson-doveの背後から飛び出したミコトはそのままgivson-doveを飛び越え空中からサティロスに攻撃を仕掛けた。
ミコトの剣が的確にサティロスの体を捉えていく。
2体の間に着地したミコトに対し両サイドからサティロスが一斉に攻撃を仕掛けた。
しかしさきほどミコトの攻撃は四肢の間接部を的確に捉えており通常よりも威力・速度の落ちた攻撃ではミコトを傷つける事は出来なかった。
「はぁ・・お前ら俺の事忘れてるだろ・・。」
大剣を横に振りかぶりgivson-doveが叫ぶ。
「まずは足だ!」
叫ぶのと同時に振りかぶった剣を右から左へと勢い良く振りぬいた。


ブォン


元々の切れ味に加えgivson-doveのパワーが乗った剣はいとも簡単にサティロスの足を破壊した。
「おらぁ、もう一丁!!」
振りぬいた勢いそのままで今度は上体めがけ攻撃を仕掛ける。


ドスン


屈強な体を誇るサティロスだったがgivson-doveの強烈な一撃の元にそのままその場に崩れ落ちた。
「間近で見たらほんと怖いですね・・・。」
サティロスの間で一撃目を飛び越しニ撃目をしゃがむ事でかわしていたミコトが正直な感想を漏らした。


グギャァ


不意に橋の向こう側から断末魔の叫びが響いてきた。
「やれやれ・・・これじゃあ前門の虎ってより前門のティラノサウルスですよ。でもそんなに戦い見せられたらだまってられませんよ。」
橋の向こう側でラディッツが剣を構え立ちふさがっていた。
足元には先程の断末魔を発したであろうエルフ巡視の死体が転がっていた。
不意の強襲・強奪によりMOBの指揮系統は崩されていたが背後からの刺客にさらにMOBは混乱に陥り近くにいる相手を攻撃する程度しか考える余裕が無くなっていた。
後方にいたエルフ巡視がラディッツへ、前方にいたサティロスがミコトとgivson-doveへとそれぞれ襲い掛かる。
「はぁ!」
ラディッツがエルフ巡視の一斉攻撃をかろやかにかわしながら無駄のない動きで攻撃を加える。
ラディッツは力ではなく技で相手を翻弄し隙を生じさせ確実にその隙をつくといった戦法の持ち主だった。
その技の鮮やかさは味方だけではなく敵ですら攻撃の手を止め魅入ってしまう程の物だった。
「きゃーラディかっこよすぎ!」
のかちむ♪が戦闘中である事を忘れたかの様に黄色い声援をラディッツに送った。


ギィ・・・


エルフ巡視のうちの一体がそれを発見しのかちむ♪めがけ矢を放った。


ヒュン


今だラディッツの戦いに夢中ののかちむ♪を矢が襲う。
「あ~。」
しかし矢はのかちむ♪を捉える事は無かった。
「だからさっき武道の仰け反る舐めるなって忠告したじゃん。」
のかちむ♪はラディッツの方を眺めながらもしっかりと仰け反るで攻撃をかわしていた。
そして懐に隠し持っていた武器をエルフ巡視むけ投げつけた。


ザクッ


のかちむ♪の放った武器はエルフ巡視の手に刺さりその衝撃でエルフ巡視が持っていた弓矢を地面に落とした。
「のか・・・戦いの最中に隙見せるなよ・・・。」
givson-doveがそのエルフ巡視を一撃の元に屠りのかちむ♪の方を向き注意した。
「私はいたって真面目だっつーの。それよりギブ、後ろ後ろ。」
橋に背をつまり敵に背を向けていたgivson-doveにサティロスが攻撃をしかける。


ザクッ  ポタ ポタ


地面に鮮血が撒き散る。
しかしそれはgivson-doveの物ではなくサティロスの物だった。
後ろを向いたままの状態にも関らずまるで後ろにも目があるかのようにgivson-doveの剣はサティロスを捉えていた。
「はっ!」
そして足の止まったサティロスにミコトが攻撃を加えサティロスはその場に崩れ落ちた。
「きゃーミコト君もかっこいい!!」
のかちむ♪が再度黄色い声を上げる。
「ったく・・・・・まぁミコト君、気にせず残りも叩こうか。」
givson-doveが呆れた様子で口を開く。
「は、はい!」
ミコトもつられ苦笑いを浮かべた。





・・・・


ドサッ
「ふぅ、これで周りは片付いたな。」
作戦開始から5分程が経過した頃脱落魔法師を除いた全てのMOBは地面に崩れ落ち、残るは脱落魔法師のみとなっていた。
「さて後はお前だけだ。覚悟は出来ているんだろうな?」
脱落魔法師の周りをミコト、givson-dove、ラディッツの3剣士が囲む。
「グゥ・・・モウ少シノトコロデ・・・・」
脱落魔法師が低く篭った声で口を開いた。
「なんだ?お前喋れるのか?」
「失敗シタ私ヲ待ツノハ死ノミ・・・ナラバ貴様達モ道連レニシテクレルワ!」
そう告げると脱落魔法師が上空むけ手をふりかざした。
上空でピリピリと大気が振動し空間が歪み始める。
「これは・・・メテオか!?ラディ!」
「はい!」
メテオを阻止せんとラディッツが動き出す。
「遅イワ」
脱落魔法師が口を吊り上げさせほくそ笑んだ。


ゴゴゴゴ・・・・・


脱落魔法師の上空付近の空間が歪みだし焦熱を帯びた隕石が湾曲空間の中から現れた。
「ヒャッヒャヒャ死ネ!死ネェェェ!!」
そう脱落魔法師が叫びながら手を振り下ろした。









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